毎日新聞記事 田中俊之・大妻女子大准教授投稿より
男性の長時間労働が「女は家庭」ということを強める
今年から施行されている「改正育児・介護休業法」は、男性育休の取得が進むことを目指しているんです。共働き家庭が増加してきて「男性育休」の整備を進めるということですが、育休の取得率はいまだなんと1割台ですよー。キャリアアップと家事育児の両方を追求できない「普通の男性」=「フツメン」の厳しい現実を指摘していますね~。
これは女性のキャリア形成や、経済的な自立の大切さが認識されてきているということでしょうね。女性が出産後も子育てしながら仕事を継続する傾向が高まるのだから、子育てを共に担う男性の育休促進は進めなくてはいけませんよね。
更に、もう一つは、経済が停滞していて所得が増えないので、共働きをせざるを得ないという現実があるんですよね。それで男性育休の必要性が高まっているということだと思います。
ところが残念なことに、いまだに企業の方から「男性育休のメリットはなんですか?」なんていう問いかけがあるそうです。本当に残念です‼
男性の育休の取得率は、厚生労働省の調査によると、2021年度で13・97%ということです。必要性や意義がなかなか広まらないのは、なぜなんでしょう?
昔から、男性が夜遅くまで長時間働く形が“普通”になってしまって、世の中で「男は仕事、女は家庭」という「性別の役割分業」の意識は強まっていったんです。また男女間の賃金格差という問題もあり、確かに女性が働くよりより男性が働いた方が家計が潤うという考え方も「家事育児は女性の担当」という意識を強めてしまったのでしょうね。
でも違うんですよ~女性も仕事がしたいんですよー。
「なんとなく面倒なことを女性に任せる」というような、女性を軽く見る考え方が、男女間で家事育児の負担のかたよりを大きくしてしまったのでしょうね。
収入が一時減っても育児に時間を
「性別の役割分業」に捕らわれないで、子育てや家事も主体的に担おうと思う男性もだんだんと出てきているんです。
そういう男性から見れば、子育てすることは性別を問わないのに、会社側が理解がないために、せっかく仕事を効率化して早く帰ろうとしても陰では「楽をしていいよね」みたいなことを職場で言われちゃう。何なんでしょうね、それって。 会社から配慮を得られないつらさは、男性からもよく聞きますよね。
「収入やキャリアを一時的に諦める」ことには、抵抗感を覚える男性も多いかもしれませんね。「普通のメンズ」を「フツメン」という言葉で呼んでいるんですよ。「フツメン」は、単に育児を頑張っている「イクメン」とは違います。逆にキャリアを追求するなら育児はおろそかにならざるを得ないし、育児を主体的にするなら仕事中心の生き方はできないかもしれない。これからはそういう「フツメン」が子育てをできるような環境を作ることが大事です。
仕事と家事育児の板挟みになってしまって、仕事も育児もつらくなる男性の話は聞きます。両方を追求しようとするのではなく、「働き盛り」と言われる30代、40代で、仕事を一定程度セーブして子育てもする気持ちになるというような父親への社会的な支援が必要ですね。
男性育休は、多様な生き方を考えるきっかけになると思いますが。 地域と関わりを持つ事も出来まるようになると思うし、違った世界の考え方を新たに見つけることができるかもしれませんよね。
それと、地域に支えられ、社会は成り立っていると、身近に感じてきますよね。
「経済を回す」に絶望 政治に変化を
コロナ禍で保育園が休園し、学校も休校する中で「経済を回す」と言ってはばからない政治家がいましたよね。どうして、子どもが預けられない状況で、経済だけが回ると思ったのですかね。地域や家庭が担う役割が全く目に入らず、企業活動だけで「社会が回っている」と考える人たちが国を動かしていると思うと、絶望しましたわ。家事育児を妻に任せてきたから、実感がないのでしょうね、きっと。家事育児に主体的に関わる男性がもっと増えれば、政治家も変わっていくんでしょう。
その18へ続く