#止まることのない少子化 (その41)

「大学生少子化シンポジウム」への誘い https://sites.google.com/view/shoushikaforum202412

2024年12月14日(土) 友達誘って来てね~

バブル崩壊後の1990年代後半から2000年代にかけて就職難で苦しんだ氷河期世代の不遇が続いていることは実感しなければならない。現在40~50代前半にあたり、他の世代に比べると同じ正社員でも賃金の伸びが鈍いことが明らか。まったくもって理不尽だし気の毒な世代だと思うし、政界もこういう件に関してはあまり関心を持っていない。勿論、管理職の割合も下がっている。このままだと将来、経済力の乏しい高齢層が膨らみ、社会保障の負担が想定以上に重くなりかねない。

世界的なインフレが波及し、日本の物価上昇率はこの2年あまり2%を上回って推移している。物価高が促すかたちで賃金も上がり始めた。厚生労働省の毎月勤労統計で、手当てなどを含む現金給与総額(名目賃金)は2022年1月以降、前年同月比でプラスが続く。

でも皆が賃上げの恩恵を受けているわけではない。本当なんですよ。偏りは世代間で目につく。厚労省の賃金構造基本統計調査によると、23年の20~30代の正社員の給与は10年前の同世代より1万円あまり高い。40代後半は1千円強しか増えていない。50代前半はむしろ減った。

出版社で働く東京都内の40代の男性は「非正規社員だった30代のころは生活費の工面で手一杯だった」と振り返る。同年代の別の男性は「就職当時、ボーナスは少なく、賃上げ率も低かった。20代半ばの頃の年収は今の世代に100万円くらい劣っていた感覚」と話す。

仕事を見つけるのに苦労した氷河期世代。正社員になった人もその後のキャリア形成で不利な立場に置かれ続けている。より年長のバブル世代の層の厚さや近年の定年延長などの流れが影響し、昇進も遅れがちな傾向が浮かぶ。

50代前半で部長級に就いている割合は10年前から1.7ポイント下がった。ポストは前後の世代に流れている。年長の60代前半は0.9ポイントの上昇。30代前半も0.1ポイント高まった。こういうことは本気で是正されなければいけないし、こういうことが二度と繰り返されてもいけない。

年齢相応の経験が不足している分、転職市場でも埋もれがちだ。厚労省の雇用動向調査によると、40代後半の男性の転職率は5.4%と30代後半の男性より2.3ポイント低い。転職が賃金アップにつながる割合も20~30代は4割に達するのに対し、氷河期世代は3割前後にとどまる。

人手不足の環境で雇う側は人材の獲得や流出防止のために待遇改善に動く。その網からも漏れている恐れがある。第一生命経済研究所の永浜利広氏は「企業が氷河期世代は転職の可能性が低いとみて賃上げに消極的な可能性もある」と指摘する。ひどい話だ。

不遇のままでは資産形成もおぼつかない。金融広報中央委員会のデータで40代の金融資産保有額をみると、23年は100万円未満の割合が14.0%と2桁に達した。20年前の03年から2倍以上に膨らんだ。元手がなければ運用も難しい。このままでは「老後は厳しい」と日本総合研究所の下田裕介氏は危惧する。

終身雇用のような旧来の日本型の安定は期待できなくなっている。デジタル化などで求められるリスキリング(学び直し)もままならないようだと、昇給も昇進も得られない負のスパイラルが続きかねない。

稼ぎの乏しい層が高齢化する影響は大きい。介護や医療は収入の多寡で自己負担額や保険料が変わる。社会全体で負担と給付のバランスを保つのがますます難しくなる懸念がある。そもそも経済的な理由で結婚できなかった人も多い。単身高齢者は孤立で生活の質が下がって健康を損なうリスクが大きいとされる。

氷河期世代は日本の総人口の2割を占める。いかに力を引き出すかは企業にとっても重い課題になる。政府は19年に支援プログラムをまとめるなどテコ入れを図ってきてはいる。一連の対策は本当に効いているのか。経済情勢の変化も踏まえ、改めて検証しなければならないだろう。(参考:日経新聞記事)

(その42に続く)

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