#止まることのない少子化(その38)

いろいろなことを考えて多くの専門家の先生や研究家の意見を見てきたが、行きつくところは「賃金が上がらない」「雇用の不安定」「過大な女性への保育負担」が多くの原因の源になっていると思う。若い人達が本当は望んでいるだろう共働き、共保育の実現によってもたらされる『幸せ』ということを阻害している源であると思う。

立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人氏によると国際競争に晒された日本企業は利益が出ても社員に「賃上げ」せず、さらなる競争に備えて内部留保をため込んできたという。だが他国も同じように国際競争に晒されているが「賃上げ」ができている。1991年から2019年の日本の賃金上昇率は1.05倍で英国は1.48倍、米国は1.41倍、ドイツ、フランスは1.34倍である。日本の賃金上昇率は異常な低水準だ。国際競争以外に理由はあるだろう。

日本の企業が『賃上げ』対応できない理由の1つは「年功序列・終身雇用制」だという。海外の企業は、基本的に年功序列・終身雇用がなく、「ジョブ型」の雇用制度を採用している。それは企業が勤務内容・勤務地・時間など条件を明確化して雇用契約を結ぶ雇用制度で労働者は、契約の範囲内で働き、異動・転勤はなく、昇進や昇格もない。

ジョブ型では優秀な人材はよりよい待遇を求めて企業を渡り歩く。企業は賃上げをしないと、人材を引き留めることができず、国際競争に勝つために賃上げする必要がある。海外では「同一労働・同一賃金」であり、同じ労働をして、正規と非正規、大企業と中小企業で賃金が異なることはないという。

日本では「同一労働、同一賃金」ではなく、同じ社内で年功序列・終身雇用の権利を持つ正社員の方が、非正規社員より賃金が高い。また、大企業と中小企業の間でも同じ労働で賃金に格差がある。大企業の正社員と、それ以外には、明確な上下関係、格差が存在する。
社内外の労働者から、企業に対する強力な賃上げ要求は起きない。むしろ、厳しい国際競争があるので、労働者に対し企業は忠誠や協力を求める。

日本で「少子化問題」が諸外国よりも深刻になるのも、年功序列・終身雇用制に問題があるという。この制度で結婚・子育てが若者にとって大きな障壁となってしまう。このことによって、結婚して子どもができると、妻は離職して専業主婦になるか、正規雇用の職を失い非正規になることを前提としている。まず、少子化問題以前に、年功序列・終身雇用制は「女性の社会進出」自体に大きな悪影響を及ぼしているという。その通りですね。

日本の「女性管理職比率」は14.7%で、先進7か国中最下位、2021年の世界ランキングでは世界187か国中177位という驚くほど低い順位にとどまっている。
少子高齢化を本質的なところから解決するためにはこの古い年功序列・終身雇用制の日本型雇用システムを変えなければならない

岸田総理は3年間の「加速化プラン」で取り敢えずの出生率の低下、上昇を見込んでいる。と同時並行的に時間のかかる「若い世代の所得を増やす」「社会の意識を変え、女性集中の育児負担の実態を変える」ということに取組んでいこうとしている。
恐らく、この後半の同時並行的な中長期プランには具体的な政策が浮かんでないかもしれない。まさに今回の「古い年功序列・終身雇用制の日本型雇用システムを変えていく」という
大きな正解が目の前に与えられたのではないのでしょうか。同時に女性の地位向上にも繋がりそうです。

(その39に続く)

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